思い出ホタル
おれがゆり子と知り合ったのは、ひょんなことからだった。高校入学後まもなく、通学のバスの中で、金が足りなくて困っていたおれに、彼女が「返さなくていいわ」と言って、バス賃分をくれたのだ。おれはいつもは自転車通学なので、彼女に会いたいと思いながらも、その後は二度会っただけだった。だが、夏休みも残り少なくなったある日、彼女にむしょうに会いたくなり、自転車を走らせた。
おれがゆり子と知り合ったのは、ひょんなことからだった。高校入学後まもなく、通学のバスの中で、金が足りなくて困っていたおれに、彼女が「返さなくていいわ」と言って、バス賃分をくれたのだ。おれはいつもは自転車通学なので、彼女に会いたいと思いながらも、その後は二度会っただけだった。だが、夏休みも残り少なくなったある日、彼女にむしょうに会いたくなり、自転車を走らせた。