きみが逝くのをここで待ってる 〜札駅西口、カラオケあまや〜
彼がいる限り、幸せに生きる権利なんて、自分にはないのだーー。
「あの日」以来、「視える」ようになった和仁が見つけた居場所とは…?
大学進学のため、札幌で一人暮らしを始めた和仁。
新歓コンパで行ったカラオケ店のトイレには、生首が転がっていた。
「お客様、もしかして、視えてます?」話しかけてきたのは店長の花宮。
彼は和仁に、ここで働かないかと勧誘する。
この店は、この世にとどまっている霊を集めて、
あの世に送り出す“実験場"のようなものらしい。
生者のエネルギーに満ちているカラオケのバカ騒ぎが、霊を「成仏」させるとかなんとか…。
花宮ももちろん「視える」人間なのだが、
常に和仁の傍にいる土色の男の霊については詮索してこない。
割高の時給ということもあり、
和仁は、このカラオケ店「あまや」でバイトすることにしたのだがーー。