「鳥」という名の少女は海を渡ったーー。キリスト教が迫害されていた17世紀。アイヌと和人の間に生まれた少女チカップは、聖職者を目指す少年ジュリアンと海を渡る。少女の流浪の人生を描く遺作にして津島文学の集大成。
日本でキリスト教徒の迫害が進む17世紀。アイヌと和人の子チカップは、兄と慕うジュリアンと共に、命懸けの航海の末マカウの地に辿り着く。母に聴かされたアイヌの歌を拠り所に生きるチカップは、キリスト教の信仰に惹かれつつも、故郷のえぞ地への思いを持ち続けていた。マカウも安住の地とはなり得ず、少女は再び航海に身をゆだねる。物語や言葉が多重な層を織りなす、著者最後の長編小説。 2018/02/20 発売