どこにでもいる平凡な家族のもとに訪れる、かけがえのない瞬間を描いた6編を収録。『家日和』『我が家の問題』に続くシリーズ最新作。笑って泣いて、読後に心が晴れわたる家族小説。(解説/大矢博子)
どうやら自分たち夫婦には子どもが出来そうにない(『虫歯とピアニスト』)。同期との昇進レースに敗れ、53歳にして気分は隠居である(『正雄の秋』)。16歳になったのを機に、初めて実の父親に会いにいく(『アンナの十二月』)。母が急逝。憔悴した父のため実家暮らしを再開するが(『手紙に乗せて』)。産休中なのに、隣の謎めいた夫婦が気になって仕方がない(『妊婦と隣人』)。妻が今度は市議会議員選挙に立候補すると言い出して(『妻と選挙』)。どこにでもいる普通の家族の、ささやかで愛おしい物語6編。 2015/09/25 発売