猛き箱舟(3)
熱砂の西サハラ、苛烈な日差しの下に飛び交う銃弾と砲弾、謀略、殺戮、戦闘、裏切り、サバイバル…。この物語では、そうしたものが、激しくぶつかり合い、混じりあい、あるいは反発し、互いを退け合い、溶けては分離し、まったく気をゆるめる間もなく空へ噴きあがる。
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あの「灰色熊」のような男になりたい。香坂正次は胸に野心を秘め、海外進出日本企業の非合法面の守護神とあがめられるその男に近づいていった。どんな手段を使っても、奴のもとで仕事をし、認められるのだーそして、彼の前には血と暴力の支配するアフリカの大地が開けた。人の世の地獄、野望と絶望を高らかに謳いあげた船戸与一大ロマンの華麗なる船出。 1990/07/01 発売
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正次が「灰色熊」に与えられた仕事は、西サハラの砂漠の中にある小さな鉱山を敵の攻撃から守ることだった。正次は火のように燃えた。男になるんだ!重機関銃カリバー50が咆え、戦闘車が炎をあげて横転するーそして夜、戦いを終えた正次の頭上には、銀の砂をぶちまけたように無数の星が静寂の中に散らばる。 1990/07/01 発売