小説むすび | 海の匂い

海の匂い

海の匂い

出版社

集英社

発売日

1990年8月1日 発売

そのひとは、いつもなんの前ぶれもなしに現われた。日灼けした顔と、大きなからだからは房総半島の潮の香りがした。秋子は夫が戦死したあと、一人息子を育てあげ、仕事を続けてきた。月に一度、或はふた月に一度、二人は逢瀬を楽しんだ。そのひとと会った夜、息子に「潮風の匂いがする」と言われ、動揺する秋子。(「海の匂い」)表題作ほか、珠玉の八篇収録。

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