はぐれ鴉
寛文六年、竹田藩で凄惨な事件が起きた。逃げのびたのは、城代の幼い次男・次郎丸ただ一人。次郎丸は、惨殺の下手人であり叔父でもある玉田巧佐衛門に復讐せんと、江戸で剣の腕を磨く。十四年後、名を変え、藩の剣術指南役として因縁の地に戻るが、そこで見たのは、地位や名誉に関心がない変わり者の城代と噂される仇敵の姿だった。また、竹田小町として評判をとる巧佐衛門の娘・英里に出会い、思いがけず心惹かれていく。恋情と復讐心に引き裂かれながらも、次郎丸は叔父を討つと決意するのだが…。城代一族郎党、二十四人鏖殺の真実とは?豊後国・竹田を舞台に繰り広げられる復讐劇。誰が敵で、誰が味方なのか。隠し通された秘密が明らかになるその時ー。第一級時代ミステリ!