暮しに溶けこんだ何げない「物」たちの“小さな声”に耳をすますと、見えてくるオトナと子供・街と自然の物語。
父親の死が近づいているのに女優のゆり子は番組に出演しなければならない。録画撮りが始まって、彼女はスタジオのあちこちに時計があることに初めて気づく(時計)。停年の翌日から家の前を掃き出した貞冶が知る町の顔、妻の声(朝の竹箒)。息子のような若い男に恋心を覚えた京子の戸惑い(二足のハイヒール)。日常に溶けこんだ“物”たちを通して浮かびあがる男と女、オトナと子供の様々な人生。 1991/07/01 発売