好いた惚れたは八丁堀の顔にひとすじ体に八十八の刀傷。おとこ権佐のこころ意気。江戸暮らしの哀と歓。連作時代小説。
惚れた女を救うため、負った八十八の刀傷。江戸・呉服町で仕立て屋を営む男は、その傷から「斬られ権佐」と呼ばれていた。権佐は、救った女と結ばれ、兄貴分で八丁堀の与力・数馬の捕り物を手伝うようになる。押し込み、付け火、人殺し。権佐は下手人が持つ弱さと、その哀しみに触れていく。だが、体は不穏な兆しを見せ始めてー。一途に人を思い、懸命に生きる男の姿を描いた、切なくも温かい時代小説。 2005/04/26 発売