天上の花・蕁麻の家
「天上の花」は、詩人・三好達治を、幼いころから三好にかわいがられていた著者ならではの目線で切り取ったもの。三好は前妻(佐藤春夫の姪)と別れ、朔太郎の妹・慶子と付き合うようになるが、きらびやかな生活を好む慶子と、貧しくても平和な暮らしを望む三好の愛の生活は、やがて破滅的な最後を迎えるー。第55回芥川賞候補作。「蕁麻の家」は母親が他の男のもとに走ったことが原因で、幼少期から祖父、叔母など家族みんなに疎まれ、頼みの父親からも避けられてしまう主人公の、まさに棘に囲まれているような生活を描いた秀作。第15回女流文学賞を受賞。