暗い夜の私
昭和10年代から戦後までの文壇の舞台裏を描く。-個々の作品が独立した短篇であることはいうまでもないが、連続性を意図して執筆したことも事実であった。いわゆる連作であるが、変則的な長篇といえるかもしれない。文芸雑誌「行動」の編集者だった時代を描いた「浮きつつ遠く」、二・二六事件前後の作家たちとの交流を扱った「その日私は」、戦時中の文人たちの姿を活写した「暗い夜の私」、戦後の雑誌界や日本文藝家協会について触れる「真暗な朝」など、年代ごとの文壇の様子や作家の生の姿が垣間見える秀作短篇集。他に「ほとりの私」「深い海の底で」「彼と」の計7篇を収録。