ドラゴン・オプション
大英博物館東洋美術部の責任者である矢島剛は、オックスフォード大学の同級生ジミーから龍の像の鑑定を依頼される。像は清朝時代につくられた壮大な庭園「円明園」から失われた十二支像のひとつではないかと見られていた。矢島は像のある貴族の邸宅に赴き、データを収集して帰るが、直後に像は屋敷から忽然と消え去る。残されたデータを携え、矢島はかつての教え子で美術品を見抜く特別な才能を持つ段燕霞をパリに訪ねる。かねてから段に好意を寄せていた矢島だったが、二人の身に姿無き脅迫者の影が忍び寄る。一方、中国では政権内部の権力闘争に端を発する巨大な陰謀が進行していた。龍の像の真贋を確かめるべく香港に渡った矢島と段の身には…。