ディアレストガーデン
天才画家と言われた父が旅先で客死した時、ひとり息子の茜は十二歳だった。たったひとりの身寄りとも言える父の後妻・爽子は、そのとき二十歳。遺された家族として亡き人の思い出を分け合いながら、ふたりは寄る辺のなさを埋めるように暮らしてきた。そして七年。十九歳になった茜の前に、爽子に求婚する男が現れた。頑なに守り続けてきた「母と息子」の関係、茜はその不自然さに、否応なく向き合うことになるー。『マンゴスチンの恋人』の著者が、繊細な筆致で少年期との決別を切なく描く、ビタースウィートな物語。