小説 あゝ、荒野 前篇
二〇二一年、新宿。少年院帰りで、住む家も仕事もない沢村新次。吃音障害と赤面対人恐怖症に悩み、他者との関係を築くのが苦手な二木建二。ある日、対照的な二人の若者が、プロボクサーを目指し、さびれたジムで奇妙な共同生活を始める。やがて二人は友情を育み成長を遂げていくが、その一方で、母親との離別、父親からの暴力、仲間の裏切り…、それぞれが抱える問題に向き合うことになる。新宿という都会の荒野の真ん中で孤独と戦い、誰かと繋がりたいと渇望する人々を描いた、魂を揺さぶる青春物語。寺山修司唯一の長編小説を現代に甦らせた映画版をノベライズ。