志ん生一代
十五歳で家出し、二十歳で三遊亭小円朝に弟子入りし、朝太の名をもらう。「一人前の噺家になるまでは家にはかえらねぇ…」と、落語への情熱は本物だったが、十代から覚えた「飲む打つ買う」の三道は止められない。師匠を怒らせ、仕事をしくじり、改名を繰り返し、借金を重ねていく…。後の名人・古今亭志ん生の若き日の彷徨だった。酒でしくじり寄席を出禁になると、落語以外に自分の生きる道はないと痛感。昭和十四年、念願の五代目古今亭志ん生を襲名。名人・文楽と並び称された不世出の天才落語家の戦前、戦中、戦後を駆け抜けた破天荒人生を描く。