死ぬがよく候〈二〉 影
江戸町奉行所が飼っていた元隠密廻り同心「南町の虎」こと、伊坂八郎兵衛は、廻国中に行き着いた加賀金沢で、武家の妻女から、「夫の利き腕を折ってほしい」と頼まれた。冨田流小太刀を遣う夫の上川兵馬を、御前試合に勝たせるわけにはいかないという。涙ながらに訴える志乃に、心ならずも兵馬の右肘を外してやった八郎兵衛だったが、なんと戻り道で闇討ちされー。半死半生で真相を探ってみれば、兵馬の妻はすでに死んでいるうえ、御前試合には莫大な金が動いており、腐れ藩士が謀略まで企てていると知れて…。立身流の剛剣が唸りを上げる、剣豪放浪記第二弾。