大番(下)
丑之助を株の世界へ導いてくれ、何かと可愛がってくれた富士証券の社長・木谷が自殺した。大恩人の死にショックを受けた丑之助は、株屋を廃業し、故郷の愛媛に帰る。一応の成功者と思われている丑之助は人々から一目置かれ、以前は雲の上の存在だった富豪の森家とも、東京の伯爵家に嫁いだ憧れの可奈子ともなじみの関係になっていた。その森家から船を借りヤミ商売を始めるが、やがて太平洋戦争が勃発。丑之助の株屋魂に再び火がつく。終戦後、混乱のカブト町へ舞い戻った丑之助は、事業を拡大する一方、零落した可奈子の世話を焼く。痛快、昭和の相場師一代記。