炎天華の惨刀
享保年間は将軍・徳川吉宗のもと緊縮財政による改革が進むと同時に、心中が流行した時代でもあった。その数の多さに業を煮やした幕府は、享保七年に“心中”の語を厳禁し、“相対死”と記すことを命じるとともに、心中した男女の遺体を切り捨てるという苛烈な処分に踏み切った。目安箱改め方の竜巻誠十郎は、幕府転覆を企む尾張藩の陰謀を阻止したが重傷を負う。瀕死の彼を看病してくれたのは、髪結いの女主人・おたかだった。そのおたかの縁者が心中の濡れ衣を着せられ殺害されたことを知った誠十郎は真相解明に乗り出す。大好評シリーズ、新機軸の第五弾。