3代目沢村田之助の生涯。幕末から明治初年まで、稀代の名女形としてその名声を謳われながら、自らのみを恃む性格と不治の病ゆえに辿った破局への道を描く書下ろし長篇。
絶世の美貌と才気、そして妖艶極まる頽廃美で絶大な人気を博した女形、三代目澤村田之助。江戸から東京へと世情がゆれ動く中、不治の病に侵され四肢を失いながらも舞台に立ち続けた、壮絶なる人生とはー。こよなく淫蕩、こよなく凛乎、こよなく高慢。稀代の役者の芸への執念を流麗に描き上げた傑作長篇。 2016/12/06 発売