歓喜、悲嘆、憎悪。時には生や死さえも溶解しのみつくす、灼熱の太陽、永遠の海。日々の暮しに遠い神話の世界がまざりあう物語の時間。禁忌と宥恕に包まれた、懐しい戒律の宇宙を、内から発せられる不思議な響きで語りあげた、美しくて残酷な南の島の物語。
著者最高傑作として絶讃を得つつも長らく入手困難だった中短篇小説集を、新資料を加え復刊。やわらかな日本語散文と南島の言葉で織り成した、島の「夜」にうごめく物語世界。 2019/04/24 発売