橋の向こうにあるのは青春の夢か現実の悲哀か。身を切るような冬場の水仕事、朝の早い錦市場への買い出し、修業中の大店の息子の陰険さ、下働きの娘のほのかな恋…、京の料理茶屋に奉公する若い男女の哀歓を描く時代長篇。
京の料理茶屋「末広屋」に年季奉公にでることになった百姓の娘、お菊。寂しさと不安のなか、有名料理屋の息子の才次郎、その腰巾着の市松、武家の息子の小仲太、生真面目な又七ら同輩とともに、日々懸命に働く。お菊はやがて、又七と心を通わせるようになるが…。人生に立ちはだかる困難や失敗にめげず、未来に向かって真っ直ぐに生きる若者の姿が心を打つ傑作時代小説。 2014/11/12 発売