小説むすび | おしゃべりな部屋

おしゃべりな部屋

おしゃべりな部屋

近藤麻理恵が片づけてきた1000以上の部屋にまつわる実話を基に、川村元気が紡ぐ7つの部屋の物語。

気鋭の絵本作家・大桃洋祐のカラーイラストを40点以上収載。読売新聞連載時から話題沸騰の小説がついに単行本化!


わたし、橙木ミコには、誰にも言えない秘密がある。

部屋にある、モノの声が聞こえてしまうのだ。服や靴、本や家具がみな、話しかけてくる。

わたしは、依頼された家の“片づけ”を手伝う仕事をしている。

今、わたしの隣にいる片づけの相棒はボクス。おしゃべりな小箱だ。

どうして、片づけが仕事になったのか? どうやって、モノの声が聞こえるのか?

そもそも小箱が相棒って、どういうこと?

きっとあなたは不思議に思うだろう。けれども、これはどれも本当の話。

わたしが片づけてきた部屋は、千を超えた。

服を手放せない主婦、本を捨てられない新聞記者、なんでも溜め込んでしまう夫婦、好きなものが見つけられない少女、死の間際に片づけを決意する老婦人……。

部屋の数だけ、そこに暮らす人と、おしゃべりなモノたちとの思い出がある。

今からすこしだけ、その話を聞いてもらえたらと思う。

これはわたしが実際に体験した、すこし不思議な七つの部屋にまつわる物語だ。

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