小説むすび | 玉藻の前

玉藻の前

玉藻の前

「お前はそれほどにわたしが恋しいか。人間を捨てゝもわたしと一緒に棲みたいか」


「おゝ、一緒に棲むところあれば、魔道へでも地獄へも屹とゆく」




岡本綺堂の稀少な長編小説で、「婦人公論」に連載された。世紀末のファムファタールを思わせる金毛九尾の妖狐と若き陰陽師との悲恋は、人形劇やコミックの原作になるなど人気が高い。


「殺生石伝説」を下敷きに、時代は平安朝。妖狐に憑かれ国を惑わす美女になった娘と、幼なじみの若き陰陽師、権力に憑かれた殿上人や怪僧らが活躍する。付録として同じく妖狐が登場する短篇「狐武者」を収載。

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