ユートロニカのこちら側
巨大情報企業による実験都市アガスティアリゾート。その街では個人情報ー視覚や聴覚、位置情報等全てーを提供して得られる報酬で、平均以上の豊かな生活が保証される。しかし、誰もが羨む彼岸の理想郷から零れ落ちる人々もいた…。苦しみの此岸をさまよい、自由を求める男女が交錯する6つの物語。第3回ハヤカワSFコンテスト“大賞”受賞作、約束された未来の超克を謳うポスト・ディストピア文学。
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アガスティアリゾートーマイン社が運営するサンフランシスコ沖合の特別提携地区。そこでは住民が自らの個人情報ー視覚や聴覚、位置情報などのすべてーへの無制限アクセスを許可する代わりに、基礎保険によって生活全般が高水準で保証されている。しかし、大多数の個人情報が自発的に共有化された理想の街での幸福な暮らしには、光と影があった。リゾート内で幻覚に悩む若い夫婦、潜在的犯罪性向により強制退去させられる男、都市へのテロルを試みる日本人留学生ーSF新世代を担う俊英が、圧倒的リアルさで抉り出した6つの物語。そして高度情報管理社会に現れる“永遠の静寂”とは。第3回ハヤカワSFコンテスト大賞受賞作。 2015/11/20 発売