リンゴォ・キッドの休日
日曜と重なったある非番の日、私は横須賀へ出向いた。そこで署長は意外な話を持ちかけてきた。高級クラブに勤める女が挙銃で殺され、米軍基地内の桟橋で、パリから来た男が同じ挙銃で自殺した。事件は公安部の扱いだが、不自然な状況にもかかわらず彼らは自殺説で片づけようとしている。だから、独自に捜査をしてくれないかというのだ。公安部がもみ消しをはかる事件の本当の姿とは何なのか。-日本の新しいハードボイルド小説の担い手が、その鮮烈な感性を凝縮して神奈川県警二村永爾刑事の苦闘を描く傑作。他に「陽のあたる大通り」を収録。