グアルディア
22世紀末、遺伝子管理局が統括する12基の知性機械によって繁栄していた人類文明は、とあるウイルスの蔓延によって滅びた。そして西暦2643年、ラテンアメリカ-変異体と化した人間たちと種々雑多な組織が蠢く汚濁の地にあって、自治都市エスペランサは唯一、古えの科学技術を保持していた。その実験体にして、知性機械サンティアゴに接続する生体端末の末裔アンヘルは、混沌の世界を平定すべくレコンキスタ軍を組織、不老長生のメトセラにして護衛の少年ホアキンらとともに、サンティアゴの到来が近づくグヤナ攻略を画策していた。いっぽう民衆たちのあいだでは、サンティアゴを神の降臨と捉える参詣団が形成され、その中心には守護者として崇められる青年JDと、謎の少女カルラの姿があった。アンヘルは、ある思惑を秘めて二人との接触を切望するが…。精緻にして残虐なるSF的イメージと、異形の者たちが織りなす愛憎と退廃のオペラ-沖方丁、小川一水につづく新鋭の叙事詩大作。