人狐伝
漂泊の民、出雲呪族。彼らは山野を放浪し、歴史の裏側で暗躍した一族である。出雲王朝崩壊後の迫害の歴史は怨念の呪詛として一子相伝で語り継がれてきた。しかし、簸上竜造が掟を破り、3千年におよぶ遺恨を文字にたたきつけた。陰から体制を支配しつづけてきた謎の天孫一族・須米婁は、簸上文書の存在を嗅ぎつけ、闇に葬り去ろうと動きだした。支配者・須米婁にとって日本史を否定されることは自らを否定されることを意味するからだ。次々と襲撃を受ける出雲呪族。鬼祭光舜は人狐と呼ばれる精神遊離の呪用を用いて、須米婁の魔手を退けようとするが…