首のない血脈
円光寺宗夫は画家である。世紀末的怪奇画で流行児になっていた。その円光寺の家に、週刊誌記者の門倉隆造が刃渡り30センチほどの短剣を持参した。剣には“魄”の字が彫られ、柄には竜頭が施されていた。この「魄の剣」は、円光寺の親友で有名なファッションデザイナー、草鹿譲二の家の古井戸から発見されたという。草鹿はガンで死期が近い。女祈祷師が、対になった「魂の剣」を持ってきた女と草鹿が結婚すれば平癒すると告げた。疑惑を抱いた円光寺は女祈祷師の出自を調べに四国へ飛ぶが、そこには南北朝の血の時代があった。