歴史の闇に散った高潔な魂に、直木賞作家がいま新たな生命を吹きこむ。誠を貫き、義に殉じた武士たちの烈々たる生を描く最新時代小説。
千葉家四天王の一人と謳われた北辰一刀流の手練、森要蔵は飯野藩剣術師範として保科正益に仕えた。慶応三年、将軍徳川慶喜は大政を奉還、朝廷は諸侯に上京を命ずる。一方、慶喜から江戸退去を命じられた会津藩主・松平容保は全藩士を従え帰国、新政府との対決は必至であった。正益の腹違いの姉、照姫の身を案じた森は、朝命に応じ上洛した主君の立場を慮り、脱藩して会津へ向う…直木賞作家による時代小説集。 1998/11/15 発売