度胸と才覚を武器に、ちっぽけな太物問屋から、江戸有数の大店に成り上がった女の秘めた恋!江戸中の人々を驚かせ、女たちの注目を集め、新しい反物を流行らせた“人でなしのおけい”は仮の姿。遣り手、強面のかげに一途な純愛が…。号泣必至の一代記!
十一歳のおけいは泣きながら走っていた。日本橋通旅籠町の太物問屋・巴屋の長女だが、母は美しい次女のみを溺愛。おけいには理不尽に辛くあたって、打擲したのだ。そのとき隣家の小間物問屋の放蕩息子・仙太郎が通りかかり、おけいを慰め、螺鈿細工の櫛をくれた。その日から仙太郎のため巴屋を江戸一番の店にすると決意。度胸と才覚のみを武器に大店に育てた女の一代記。 2017/12/01 発売