その病に、理由あり。糸瓜、芍薬、甘草、肉桂皮、薄荷葉、檳榔子、撫子、杏仁…女薬師・真葛が薬草を通じて、隠れた悩みを解きほぐすー。
師走も半ば、京都鷹ヶ峰の藤林御薬園では煤払いが行われ、懸人の元岡真葛は古くなった生薬を焼き捨てていた。慌ただしい呼び声に役宅へ駆けつけると義兄の藤林匡が怒りを滲ませている。亡母の実家、棚倉家の家令が真葛に往診を頼みにきたという。棚倉家の主、静晟は娘の恋仲を許さず、孫である真葛を引き取りもしなかったはずだが…(表題作)。人の悩みをときほぐす若き女薬師の活躍。 2018/05/02 発売