蛍の光 長州藩士維新血風録
「長州五傑」のメンバーとして明治政府草創期の中枢を担った「工学の父」山尾庸三と「初代総理大臣」伊藤博文。ふたりには墓場まで持っていくと誓った秘密があったー。高杉晋作の指揮のもと、英国公使館を焼き討ちし、尊攘の機運高まる長州藩。一味に加わった山尾庸三は、書生部屋で同室の伊藤俊輔とともに、孝明天皇の退位を説く幕府の御用学者・塙次郎を暗殺する。だが断末魔の形相が夜ごとよみがえり、気鬱に陥る山尾。最高幹部の桂小五郎の後押しで、のちに「長州五傑」と呼ばれる五人のひとりとしてイギリスへ藩費留学することに。その中には相棒の伊藤もいた。山尾の任務は『工業立国』の基盤を学ぶこと。だが彼の裡には、己が殺めた塙次郎の遺志である障害者政策があったー。