暁天の夢(上)
ついに翠心を妻に迎えることを決めた楊三郎。そんな時、天界の西王母から命を受け、二郎の妹・三娘が長安に現れた。伯父である天界の統治者・玉帝は、近く長安に異変が起こると予見していた。ゆえに、その身は人間でありながら、実は天界から誤ってこぼれた霊玉の化身・翠心を西王母の保護の許に置こうというのだ。伯父への反発から拒否する二郎だが、翌日、己の偽者が立ち回りを演じたとの報告を受け…。
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半神とはいえ、顕聖二郎真君の寿命は二千年の時を刻んでいる。その気になればどんな絶世の美女、仙女でも思いのままになる天界の神が翠心を妻に迎えると決めた。魏徴と裴氏の仲立ちで納采をすませたが、彼の行動はどこか荒んでいた。その頃、離宮の造宮と後宮の増員で遊興を重ねる大唐の二代皇帝・李世民は泰山封禅の意向をもらした。中華を統一し皇帝の位を天に祀る報告をする儀式で、秦の始皇帝以来だれひとりこの念願を達成したものはいない。唐の星辰に風雲あり。そこに“大逆”の気配を読むものがあった。傑作巨篇。 1993/12/31 発売
暁天の夢(下)暁天の夢(下)
李唐長安にあって、半神半人の運命からこれまで幾多の事変に巻き込まれざるを得なかった顕聖二郎真君に最大の危機が襲った。一身二者、彼の内が神と人の二つに分かれたのだ。天界に安住することを嫌って塵界に身を染めてはじめて、二郎は翆心という女性の真情に魅かれてきた。一方、天宮の玉帝は外甥にあたる二郎が卓絶した力で天界に謀叛を起こさないかと警戒をゆるめなかった。人としての限られた時間に命を燃やすか、今こそ天界を掌中に治め絶対の威力を揮うか。二人の二郎が、翆心をはさんで相対決する完結巨篇。 1994/05/31 発売