橋のまんなかに立ち、川面にむかってタクトを振っていた叔父-。あの人は、たしかに、〈天のある人〉だった。見なれた、なにげない風景のなかから、人間の奥深い世界がほのみえてくる…。“ことばの錬金術師”池内紀、はじめての小説集。