保険金殺人の犯人は、この男しかいないのだが、いつも完全アリバイがある。少年、刑事、旧友など10人が持つ財布が事件を語る輪舞形式の異色小説。
轢き逃げは、じつは惨殺事件だった。被害者は森元隆一。事情聴取を始めた刑事は森元の妻、法子に不審を持つ。夫を轢いた人物はどうなったのか、一度もきこうとしないのだ。隆一には八千万円の生命保険がかけられていた。しかし、受取人の法子には完璧なアリバイが……。刑事の財布、探偵の財布、死者の財布ーー“十の財布”が語る事件の裏に、やがて底知れぬ悪意の影が! 2011/07/12 発売