奇妙な遺産
東京・国友塾大学で教鞭を執る村主周一郎准教授は、人並みはずれた西洋史オタク。講義内容に合わせ、襟付きマントやバルーンパンツなど、往時の華やかな衣装で熱弁をふるう。ある日、大学構内にある小劇場で、OBの演出家・長谷川の死体が発見される。死亡する直前に彼と会っていた村主は、そのとき受け取った原稿に謎の数字が書かれていたことに気づく。事件を知り、駆けつけた元教え子・橋下純香とともに、村主は真相究明に乗り出す。「歴史」に迫るように、「生きた人間が起こす事件」の真相を探る、歴史をこよなく愛する男の推理とは?血塗られた伝説、怪しげな宝探し、不可思議な暗号…横溝賞作家が贈る、知的でユーモアあふれる連作ミステリー。