振袖地獄
嘉永5年の春、八丁堀同心吾妻一兵の娘おみやは17歳の美しい娘に成長していた。浅草観世音に詣でたおみやは、町家の番頭が持っている唐草模様の風呂敷をねらうならずものと、怪しげな娘の姿を目撃した。その風呂敷に包まれていたものは折り鶴散らしの振袖であった。風呂敷を奪った怪しの娘がならずものの鍾馗の三次に襲われた危ないところを救ったのは、おみやの小坂流吹き針の妙技であった。時の南町奉行は遠山左衛門尉景元であった。大江戸を騒がす振袖娘の誘拐事件の捜査に当たる稚児同心佐川左内は、女のような美男子であった。紫のお高祖頭巾の美女振袖お柳の出現によって謎はさらに深まっていく。-金さん直属の部下、吾妻一兵の活躍は。