世直し魔剣
下野国佐野ノ庄を知行地とする新御番五百石の佐野善左衛門政言とその弟の小源太義久の上に、権力者老中田沼主殿守意次と若年寄田沼山城守意知父子の横暴な手が下された。佐野家の系図と七曜の家紋の旗印はとりあげられ、鎮守様の大幟佐野大明神の文字も田沼大明神と書き替えられてしまった。佐野ノ庄をねらう田沼父子の陰謀とは。堪忍袋の緒を切った善左衛門は、江戸城中でついに山城守意知に斬ってかかった。その結果、善左衛門は切腹を命じられたが、“世直し大明神”として世にもてはやされた。一方、能勢家に迎えられた弟の義久は能勢小源太とその名を変え、営中巡察役・大御番組頭として堂々と不倶戴天の敵である主殿頭と対立していった。はたしてその結果は…。