わんぱく東海道
お陰参りの集団で混雑する伊勢神宮参道に花吹雪のようにお札が舞った。打倒水野越前の不敵な文字を記したお札をまいた一団は、雲切十兵衛ひきいる雲切五人衆であった。捕り手に追われる雲切一党の美女千里のお虎の急場の難を救ってやった若侍は、岸波又四郎であった。次の集合場所に定められた尾張名古屋城の天守閣めざして、お虎と又四郎も名古屋へと急いだ。又四郎・伊織兄弟の幼き日、大坂城の金塊を江戸へ運ぶ宰領役を命じられた岸波半兵衛こそ兄弟の父であったが、宇津谷峠で盗賊団に襲われ、半兵衛は何者かの手で行方不明となった。孤児となった又四郎を養育してくれた恩人丸目洗心斎と名古屋で再会の又四郎は?黄金の行方をめぐって波瀾万丈の物語が展開する時代長編の快作。