小説むすび | 黒十字秘文

黒十字秘文

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発売日

1994年4月10日 発売

江戸は黒門町の大店伊勢屋の一人娘お新と浜松屋の一人娘お菊は同い年の十八、近所でも評判の仲よしだった。その一人、お新が奇妙な相対死をとげた。心中の相手は以前から身をもちくずして勘当されていた兄の喜三郎であった。そのことは幼なじみのお菊が証言した。伊勢屋の主人は番頭利吉をいずれはお新の婿養子として身代をゆずる気でいたが、お新にきらわれていることを知る利吉にとっては邪魔な二人、いっそ殺して。動機は充分だ。浜松屋の長屋に住む浪人柊左近は、不審の利吉を洗っていったが、その見込みはみごとはずれた。が、毎日、伊勢屋の居間に人知れず送られてくる不気味な黒十字のついた殺人予告状。事件には三十五年前のどす黒い怨念がこめられていた。はたして事件の黒幕は。

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