江戸の朝晴れ
大江戸の盛り場、金竜山浅草寺ー俗に浅草の観音さまで親しまれる仲見世通りは仁王門近く、年のころは27か8のおっとりと育ちのよさそうな若侍に、お助け屋の粂三が声をかけた。もちろん、その懐中物をねらってのことだったがすっかり魂胆を見透かされて、子分になることになった。若侍は久世喬之介といい、ある事情により浪人していた。その久世喬之介は腰元風の美女に託された書状を目明かしの絵馬徳親分に届けるべく訪ねたが、絵馬徳は何者かの凶刃に倒されていた。そして、喬之介の前には恐るべき黒覆面の怪剣士が出現した。粂三ともども“お助け屋”稼業を始めた久世喬之介の行く手は…。-根岸藩をめぐる騒動に、颯爽たる十万石の“お助け屋”喬之介の破邪顕正の剣の舞。