はないちもんめ 冬の人魚
年が明けて文政六年、北紺屋町の料理屋“はないちもんめ”で「怪談噺の会」が催された。爽やかな二枚目で弁も立つ戯作者による季節外れの人魚の怪談は、店の大女将お紋、美人女将お市、見習い娘お花が供する温かな料理の甲斐もあって盛況のうちに終わる。しかし数日後、両国で揚がった心中と思しき男女の水死体には右腕がなく、件の怪談を彷彿させた…。
年が明けて文政六年、北紺屋町の料理屋“はないちもんめ”で「怪談噺の会」が催された。爽やかな二枚目で弁も立つ戯作者による季節外れの人魚の怪談は、店の大女将お紋、美人女将お市、見習い娘お花が供する温かな料理の甲斐もあって盛況のうちに終わる。しかし数日後、両国で揚がった心中と思しき男女の水死体には右腕がなく、件の怪談を彷彿させた…。