好悪の天秤を貧乏長屋に持ち込んだわけあり父子と住人たちの葛藤を描く魂と涙の江戸人情物語。
十二歳の信太郎は心が苦しかった。長屋に正吉と父親の弁蔵が越してきた途端、大人達が父子を嫌悪する側と同情する側に分かれたのだ。誰よりものろまに見える弁蔵が、世間体を気にせず我が道を歩くのが大いに気に喰わないらしい。自分の母も二人を毛嫌いするが、信太郎は正吉に興味を抱く。一方、正吉は大人達の仕打ちを意に介さずー真の優しさを問いかける感動作。 2017/01/12 発売