小説むすび | 金塊船消ゆ

金塊船消ゆ

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戦後も40年余りたち、鳥居甚一の許に差出人不明の手紙が届いた。内容は、昭和19年11月6日暗夜にフィリピンで焚いた〈四つの火〉を再現しよう、との呼びかけだった。19年当時、鳥居は日本陸軍伍長で、浅田少尉らと命令をうけて、バターン半島のある地点で焚き火をした。同様の指示で他の3小隊も各地点で火を焚いた。〈四つの火〉が焚かれた理由は、何も知らされなかったが、捕虜収容所で耳にした噂は、〈四つの火〉こそ莫大な金塊を積んだ輸送船を自沈させた場所の“目印”であったというものだった。戦後の昭和36年、鳥居と浅田はある事件に巻きこまれて“噂”に信憑性があることを知ったのだが、興味も示さず、その後も平穏に生活を送ってきた。だが今回の〈四つの火〉再現呼びかけには奇妙に引きずられるのだった。呼びかけ人は誰?〈四つの火〉はどこに?読者をグングンひきずりこむストーリーテラーぶりには定評ある大型気鋭が、満を持して放つ傑作ミステリー。

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