王宮まかない料理番は偉大
イージアス王国には、王族や騎士たちを悩ませる、とある慣習があった。それは、食べ切れないほどの料理を食台に並べて神に捧げる、フルコースの文化。その夜も、近衛騎士アーネストは、フルコースの食べ残しを処理し、重いお腹をさすりながら、王宮の廊下を歩いていた。ふと、厨房から漂う優しい香りに気がつき、誘われるまま中に入ると、初めて目にする料理人が料理の試作をしているところだった。見習いだというその料理人イツキは、胃もたれに悩むアーネストのために、とっておきの一品を作ってくれて…ある日突然現れた、見習い料理人イツキ。故郷のレシピをもとにしたイツキの料理は、次第に王宮を変えていくー。アルファポリス第14回ファンタジー小説大賞癒し系ほっこりファンタジー賞受賞作!