亜細亜二千年紀 第一部「亜熱帯への召喚」3
殺戮を重ねるユアンは、寺院を屍で埋めていく。母親の記憶を喪失する内部の苦悶が肥大。しかしベトナム軍のカンボジア侵攻によって、ポル・ポト体制は崩壊。その混乱の中でついにユアンは父への復讐を果たす。難民に紛れてタイ国境へ向かう。敦志の父親は、北部ルソンへの逃避行を辿り、飢餓との戦いのうちに、原住民を殺し、仲間を破傷風への恐れから生きたまま焼却する。追いつめられ最後には人肉に手を出す。人間の限界に迫り、生と死の境目に戦争と生の真実を対峙させ、生きる意味を問う衝撃の純文学長篇。
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トラック島を撤退、ラバウルの基地機能を失い、さらにマリアナ沖海戦で敗北して日本軍はサイパンを失陥、米軍勢力はフィリピンに押し寄せる。「捷一号作戦」を発して乾坤一擲のレイテ決戦を挑むものの日本連合艦隊は潰え、敗北。ついに米軍はルソン島に上陸する。一方クメール・ルージュとなったユアンは、プノムペンの陥落とともに、都市住民を地方農村に強制移住させる。破壊と殺戮への道を辿った日本定住難民の殺人事件を辿って、戦争の姿を掘り起こす黙示録。飢餓への道を記しつつ戦争と生の真実を対峙させる衝撃のテーマ。 2024/09/10 発売