移動そのもの
この小説は迷うための地図。一文ずつ小さく折り畳まれたそれをひらけば、言葉を読むんじゃなくて、言葉に読まれているよう。
ーー尾崎世界観(ミュージシャン・小説家)
===
語りは未知なる情景を相手に伝えるためのものだが、一方で言葉はそれ自身次の言葉を求めて自在に繁茂していく。そのふたつが合わさったとき、小説は一文一文、一語一語、圧倒的な速度で跳躍しながら、読む者を〈現在〉の強度へと誘いつづける。
2019年『する、されるユートピア』で中原中也賞、2023年『この世の喜びよ』で芥川賞に輝く、詩人・作家が放つ、言葉を読む原初的な快楽に溢れる最新短編集!
===
言葉が奔り、物語が跳ねる!
一文ごと一語ごとに世界が相貌を変えていくーーめくるめく体験に満ちた9つの小宇宙!
移動そのもの
花瓶
市場
本汚し皿割り
軽薄
老いる彼女は家で
人々の大いなる口
通い路
旅は育ての親