小説むすび | 五木寛之セレクション5【恋愛小説集】

五木寛之セレクション5【恋愛小説集】

五木寛之セレクション5【恋愛小説集】

出版社

東京書籍

発売日

2024年10月29日 発売

五木寛之の二大恋愛小説がここに甦る。

『燃える秋』
五木文学最高の恋愛小説と呼ばれる『燃える秋』。祇園祭の京都から灼熱のペルシャへ。男たちの愛のささやきに揺れるヒロイン亜希は、自らの生き方をもとめて灼熱のペルシャを彷徨う。市場の片隅で出会う老女と幼女が、亜希の人生を紡いでいく。ペルシャ絨毯が織り成す、愛の幻と旅立ちの物語。
映画化もされた空前の大ヒット作。
映画音楽は、作詞:五木寛之、作曲:武満徹。本書では貴重な楽譜も掲載。

対談解説は、幻冬舎社長の見城徹。なぜ、見城徹なのか。幻冬舎の名付け親はたしかに五木寛之だが、それは理由ではない。いやむしろ、『燃える秋』の解説は見城徹以外には考えられなかった。なぜなら、見城徹こそが、角川書店時代に「野性時代」誌において『燃える秋』を生み出したからであった。
見城徹の熱狂と、五木寛之の優しさが出会うことによって『燃える秋』は誕生した。
そのいきさつは、是非、本書の対談解説で味わっていただきたい。

『冬のひまわり』
同時収録の『冬のひまわり』。これも五木文学における代表的な恋愛小説だ。夏の鈴鹿サーキット「8時間耐久レース」。レーサーたちは、ただひたすらにゴールを目指し続け、その先に海が見えることを知らない。観客席のスタンドの外れには、海が見える唯一の場所がある。ヒロイン麻子は、16歳の時にふとしたことで、この海の見える場所で青年と出会う。忘れられない初恋、胸の感触。以来、二人は何年も何年も、鈴鹿サーキットの度に、レーサーではなく、海を見に逢瀬を重ねていく。サーキットの轟音の中の静かな波の音。恋愛小説屈指の名場面であり、この場所には記念碑が立てられたという。
やがて20年の歳月をえて、麻子は決断を迫られる。
鈴鹿サーキットが織り成す、愛の幻と旅立ちの物語。
『冬のひまわり』という象徴的なタイトルは何を意味するのか。それは最後の1行を読むことではじめてわかる。

関連小説

五木寛之セレクション2【音楽小説名作集】五木寛之セレクション2【音楽小説名作集】

五木寛之、初のテーマ別作品集、待望の第2弾! 第2巻目は、【音楽小説名作集】として、衝撃のデビュー作『さらばモスクワ愚連隊』の他、ジャズやファドなどをテーマとした、時代を越えた名作の数々を収録。 巻末には、マイク・モラスキーとの対談解説を掲載。 【収録作品】 『さらばモスクワ愚連隊』(1966.6) モスクワの裏通りを舞台に不良少年たちが奏でる奇跡のジャズ演奏。境涯をこえた音楽の本質に迫った鮮烈なデビュー作。 小説現代新人賞受賞作 『海を見ていたジョニー』(1967.4) 音楽は人間だ。ジャズ的とは人間的なことだ。黒人兵ジョニーの戦慄のピアノ演奏。 『老兵たちの合唱』(1968.1) ニューオリンズの黒人ジャズバンドによる日本公演。平均年齢68歳の奇跡の演奏。 『われはうたへど』(1969.8) 日陰の道を歩む老作詞家。依怙地な男には戦意高揚歌を作っていた過去があった。 『帝国陸軍喇叭集』(1970.1) 途方に暮れる音楽ディレクター。とある店で目撃した陸軍喇叭に命運をかける。 『暗いはしけ』(1971.10) ポルトガル リスボン。ファドの歌い手との運命的な出会いと別れの衝撃的結末。 【対談解説】(50頁) 五木寛之 vs. マイク・モラスキー 戦後のジャズ文化を中心に五木作品と異質性について語り合う。 マイク・モラスキー 早稲田大学国際教養学部教授、66歳、専攻は日本文化研究、ジャズ研究 2023/04/05 発売

五木寛之セレクション3【異国ロマンス集】五木寛之セレクション3【異国ロマンス集】

五木寛之のテーマ別作品集、第3弾! 第3巻目は、【異国ロマンス集】として、ソ連の国境地帯カレリアの哀しみ、ソフィアの村に残されたロシアイコン(聖像画)など、戦争と革命、民族の哀愁を伝える歴史ロマン小説6篇を収録。 巻末には、四方田犬彦との対談解説を掲載。 【収録作品】 『霧のカレリア』(1967年) かつてフィンランドとソ連の国境地帯であったカレリア。領土を奪われた民族の哀しみと誇り。 『ソフィアの秋』(1968年) ブルガリアの首都ソフィアの村に残されたロシアイコン(聖像画)をめぐるロマンと幻想。 『夏の恐れ』(1967年) ノルウェー娘のジュリーはムンクの〈叫び〉に死の戦慄を覚える。ドイツに抵抗した家族の悲哀。 『赤い広場の女』(1967年) 美貌のウクライナ娘は、なぜ未来を捨てたのか。ドイツの占領がもたらした6歳の少女の悲劇。 『白夜のオルフェ』(1966年) 米軍基地の黒人下士官の血を引く少年と、誇り高きスウェーデン娘との純愛がもたらした結末は? 『ローマ午前零時』(1969年) 五月革命の混乱の中、私はCM祭での入賞を狙っていた。しかし私には、メーデー事件の過去があった。 2024/03/01 発売

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP