武田家滅亡前夜、甲州をかろうじて逃れた美貌の姫君は、凛然と生きた。信玄の五女として生まれた松姫は、若き日に織田信忠と婚約。長じてはその織田軍に追われて八王子へ移り、将軍家の若君の出産に立ち会う。その数奇な運命を描いた傑作歴史小説。