松籟邸の隣人(三)
藤沢の耕餘塾を卒業してから、学府を転々とした吉田茂は、20歳で学習院中等科に編入することになり、夏休みを大磯の別荘・松籟邸で過ごしていた。
隣人・天人は茂にとってよき相談相手であり、いつも茂を守ってくれる頼もしい存在だった。
やがて日本人悲願の改正条約施行日がやってくる。茂の敬愛する陸奥宗光が心血を注いで締結に漕ぎつけたものである。
明治32年(1899)7月17日ーー横浜は、祝賀ムードに沸いていた。しかし、その国際港の桟橋に豪華客船より降り立ったのは、天人を息子の仇と憎み、復讐のチャンスをうかがう男だった。
迫り来る危機に茂はどう対処するのか。
茂と天人が力をあわせ、敵に立ち向かう明治青春小説&活劇ミステリー第三弾、完結編!
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